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第8回鉄骨加工雑学講座

皆さんこんにちは!

豊伸工業株式会社、更新担当の中西です。

 

~確認事項~

ということで、今回は、鉄骨加工工事における設計から施工までの「事前確認事項10選」を、現場経験をふまえて解説します♪

 

鉄骨工事は、「建物の骨組み=構造そのもの」をつくる極めて重要な工事。
しかし、その品質と安全、工程のすべては、実は“施工前の確認”によって左右されていると言っても過言ではありません。


鉄骨加工工事とは?──加工精度が構造物の信頼を決める


鉄骨加工工事とは、設計図に基づき、H形鋼や角鋼管などの鋼材を切断・孔あけ・溶接・組立し、現場で建方できる状態に仕上げる工事です。

加工の段階で1mmのズレがあれば、それは建物全体に“ひずみ・接合不良・耐震性能低下”などの深刻な影響をもたらします。

だからこそ、「事前確認の徹底=品質確保の第一歩」なのです。


鉄骨加工工事における事前確認事項《10の重要ポイント》


✅ ① 設計図と製作図の整合性チェック

  • 柱・梁・ブレースなどの部材位置と寸法は合っているか?

  • プレートのサイズ、ボルト孔位置、溶接記号が明確か?

  • アンカーボルト配置や基礎との取り合いに矛盾はないか?

📐 設計図だけで加工するとミスが出やすい。製作図(工作図)の正確さが鍵です。


✅ ② 鋼材の規格・材質・等級の確認

  • 使用する鋼材(SS400/SN490/SM490など)が設計通りか?

  • 板厚・断面形状・長さの確認

  • 高層・耐震建物の場合、SN材(溶接性に優れた材)が指定されていることも

🧾 材料ミルシート(材質証明書)の整合性確認は、検査や瑕疵責任に関わります。


✅ ③ ボルト・溶接仕様の確認

  • 高力ボルト(F10T/トルシア型)の規格と本数

  • 溶接長さ・脚長・位置(全周/片側)などの溶接設計の明記

  • 溶接部の非破壊検査(超音波探傷 UT、浸透探傷 PT)の範囲確認

🛠️ 現場溶接ではなく工場内溶接を優先する設計にすることが、精度と安全性の面で有利です。


✅ ④ 製作順序・建方工程との整合

  • 重量部材の搬入順、組立順、建方ローテーションの確認

  • 仮ボルト・建て起こし金物・クレーン計画との連携

  • 狭小地や都市部では、搬入制限や時間制限があるため要注意

🚧 加工が終わっても「運べない・建てられない」では意味がない。工程とのリンクが重要です。


✅ ⑤ 検査体制と品質管理ルールの確認

  • 加工後の自主検査/第三者検査/発注者検査の内容とタイミング

  • 材料受入・切断・孔あけ・組立・塗装・出荷の各段階での記録保存

  • 記録媒体(写真/報告書/管理表)の形式確認

📋 全件検査が必要か、抜き取り検査でよいかなど、契約書・仕様書に準じて確認しましょう。


✅ ⑥ 錆止め・塗装・防火処理の有無と仕様

  • 防錆処理は亜鉛めっき・ジンクリッチ塗装などの指定あり?

  • 塗装の塗膜厚・回数・乾燥時間の仕様確認

  • 耐火被覆処理(吹付けロックウール・耐火塗料)との関係

🎨 鉄骨は「むき出し」では使えない。仕上げ材との納まりや塗装工程との連携も設計時に検討すべきです。


✅ ⑦ 運搬・搬入条件の確認

  • 最大長さ・重量により特殊車両通行許可が必要か?

  • 夜間搬入やクレーン使用の有無

  • 現場仮置きスペース・吊り上げ順の確認

📦 「加工精度」がいくら良くても、現場に運べなければ工程は破綻します。


✅ ⑧ 現場建方に必要な付属部品の確認

  • 仮設材、建て起こし用チェーン、スペーサーの準備

  • クレーン接続金具、玉掛け位置の明示

  • 鉄骨建方計画(安全帯使用・足場計画との連携)

👷‍♂️ 「設計が終わったら終わり」ではない。現場の段取りまで設計に落とし込むのがプロの仕事です。


✅ ⑨ トラブル時の対応手順と責任範囲

  • 図面変更・追加工・溶接不良時の再加工手順

  • 発注者・設計者・施工者の責任区分と承認フロー

  • 再納品時の工程影響と費用負担の取り決め

📌 リスクを「ゼロ」にするのではなく、起きたときの対処を想定しておくことが重要です。


✅ ⑩ 書類提出・報告義務の確認

  • 検査報告書、溶接記録、写真帳、ミルシートの提出期限

  • 国交省や建築基準法に基づく中間検査・完了検査対応書類の整備

  • 電子納品(PDF・CAD・写真)形式への対応有無

📝 デジタル対応も進む中、書類整備力は“施工力の一部”とみなされる時代です。


「確認」がある現場には、「信頼」と「品質」がある


鉄骨加工工事は、材料→加工→出荷→建方と進む中で、後戻りができない一発勝負の連続です。

だからこそ、「施工が始まる前」にどれだけ準備できているかが、工事全体の成否を分ける最大のポイントになります。

  • 図面と製作内容の整合性

  • 材料の品質と入荷確認

  • 現場との情報共有と建方手順の明確化

そのすべてが、“設計だけでは見えないリスク”を先に潰す力になります。

 

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