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月別アーカイブ: 2025年11月

第23回鉄骨加工雑学講座

皆さんこんにちは!
豊伸工業株式会社、更新担当の中西です。

 

溶接が生む鉄骨の魂🔥

 

鉄骨加工の心臓部といえば「溶接」。
炎と鉄、音と熱の中で形を生み出すこの工程は、まさに職人の真骨頂です。


⚒️1. 溶接の基本

鉄骨に使われる主な溶接は、以下の3種類。

  • 被覆アーク溶接(手溶接):職人が棒を手で操作する伝統的手法。

  • 半自動溶接(CO₂溶接):トーチガンからワイヤを送り出す方式。効率と安定性が高い。

  • サブマージアーク溶接(SAW):大型構造物に使用。粉体でアークを覆い、深く溶け込む。

鉄骨加工工場では、これらを組み合わせて最適な溶接方法を選定します。


🔥2. 火花の向こう側にある“繊細さ”

溶接というと力強い作業のイメージがありますが、
実際は非常に繊細です。

トーチの角度が1〜2度違うだけで、溶け込みが変化する。
溶接速度が速すぎると“ビード”が痩せ、遅すぎると“焼け落ち”が起こる。
そのわずかな違いを、職人は目と音で感じ取っています。

「溶接音がリズムよく鳴っていると、仕上がりが美しい」
ベテランは耳でも品質を見抜きます。


🧱3. 強度を支える“開先”と“裏当て”

厚板の鉄骨をつなぐとき、ただ溶かすだけでは中まで届かない。
そのため、端をV字に削り(開先加工)、裏側からも溶接を支えるために“裏当て金”を設置します。

これにより、溶け込みが深く、欠陥のない強固な接合部が完成します。
見えない部分で構造を支える技術こそ、溶接の真価です。


🔧4. 技能資格とプロ意識

鉄骨溶接士は、JIS Z 3841認証などの資格を持つ国家技能者。
資格を持つだけではなく、日々の技量検定や内部試験を受け、品質を維持しています。

また、各現場では「WPS(溶接施工要領書)」という施工条件表に基づき作業を行い、
すべてのビード・入熱・層数・速度が記録されます。

つまり、職人技でありながらも、完全に科学された技術職なのです。


💪5. まとめ

炎の中で鉄を操るその姿は、まさに現代の鍛冶師。
一滴の溶けた鉄が、建物の命を繋ぐ。
派手さの裏にあるのは、冷静な判断と精密な感覚。

溶接は芸術であり、責任そのもの。
火花のひとつひとつに、職人の魂が宿っています。

 


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第22回鉄骨加工雑学講座

皆さんこんにちは!
豊伸工業株式会社、更新担当の中西です。

 

精度こそ命

 

建物が地震や風に耐えるのは、鉄骨の精度があるからこそ。
今回は、「どうやって誤差を限りなくゼロに近づけているのか?」という
鉄骨加工の品質管理と検査の裏側を紹介します。


🧭1. 精度管理の重要性

鉄骨加工では、設計寸法と実寸の誤差が±2mm以内であることが多い。
しかし、それを保つのは容易ではありません。

鋼材は気温によって伸び縮みします。
20メートルの部材で約3mm変化することもあります。
そのため、加工中も気温・湿度を常に計測し、
基準温度(通常20℃)での寸法補正を行います。

職人はただ「切る」「溶接する」だけでなく、
常に“物理的な補正”を意識して動いているのです。


📐2. 基準と検査体制

鉄骨製作は、JIS規格・国土交通省の構造基準・製品検査要領に基づき、
段階ごとに検査が行われます。

  • 材料検査(ミルシート確認、受入試験)

  • 寸法検査(ノギス・トータルステーション測定)

  • 溶接検査(外観・超音波・磁粉探傷)

  • 塗装検査(膜厚測定、付着試験)

この中でも特に厳しいのが「溶接部の内部検査」。
超音波探傷試験(UT)で、内部の気泡や割れをチェックします。
見た目が完璧でも、中に欠陥があれば即NG。

まさに、見えないところにこそ品質が宿るのです。


🧰3. 歪みとの戦い

溶接は、金属を溶かして冷やす工程。
冷却時に“収縮”が起き、部材が微妙に曲がる。
これを「溶接歪み」と呼びます。

職人はこの歪みを想定し、あらかじめ“逆歪み”を仕込む。
つまり、溶接後にまっすぐ戻るように、最初から少し曲げて加工しておくのです。

経験値がものを言う世界。
「溶け方」「温度」「厚み」「方向」すべてがバランス。
1本の溶接ビードの中に、熟練の勘が詰まっています。


🏭4. 工場検査と出荷

完成後は社内検査のあと、第三者検査機関による「工場製品検査」が行われます。
この段階で初めて“現場搬入”が許可されます。

そのため、鉄骨加工工場は常に清潔・整然としている。
油や粉塵が図面に付くだけでも誤差につながるため、
整頓・整理が“安全と品質”を支える文化になっています。


💡5. まとめ

鉄骨加工の現場で飛び交うのは、「0.5ミリ大丈夫か?」「基準温度確認した?」といった言葉。
それは単なる数字ではなく、建物の命を守る感覚です。

正確で美しい鉄骨は、誇りと責任の象徴。
誤差ゼロへの挑戦は、今日も続いています。

 


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第21回鉄骨加工雑学講座

皆さんこんにちは!
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️鉄骨加工の世界

 

高層ビル、橋梁、工場、倉庫…。
どんな大きな建築物にも、必ず「鉄の骨格」が存在します。
それが“鉄骨”です。

そして、その鉄骨を図面通りに加工・溶接・組み立てていくのが、私たち鉄骨加工の職人たちの仕事。
一見、無骨で力仕事のように見えますが、実はミリ単位の精度と知識が求められる緻密な職種なんです

今日はそんな「鉄骨加工」の世界を、少し深く掘り下げてご紹介します。


⚙️1. 鉄骨加工とは?

鉄骨加工とは、設計図(製作図)をもとに、
鋼材(H形鋼、角パイプ、チャンネル、プレートなど)を
切断・穴あけ・開先加工・組立・溶接・塗装といった工程で仕上げていく仕事です。

簡単にいうと、建物の骨を“つくる”仕事
建設現場で組み上げられる鉄骨は、すべて工場であらかじめ「精密に加工」されています。
その出来栄えが、建物全体の強度や精度、安全性を左右するのです。


2. 主な加工工程

鉄骨加工は大きく次の流れで進みます

1️⃣ 材料受入・検査
鋼材メーカーから届いた素材を寸法・ミルシート(成分証明)で確認します。
異材混入や傷、錆などのチェックも重要。

2️⃣ 切断
バンドソーやガス切断機で、設計寸法通りに鋼材を切ります。
1mmのズレが、後の組立に影響するため慎重に。

3️⃣ 開先加工
溶接するために端部を“V字”に削る工程。
開先角度や深さは溶接条件に合わせて決定します。

4️⃣ 穴あけ
ボルト接合部にドリルマシンで穴を開けます。
自動制御機械(NC加工機)による位置精度は±0.5mm以内。

5️⃣ 組立
複数の鋼材を仮付け溶接で組み合わせ、フレーム形状に。
ここが“ものづくりの核心”。図面通りに寸法を合わせていきます。

6️⃣ 本溶接
溶接士がアークや半自動機で接合します。
ビルの柱1本でも数百箇所の溶接ポイントがあります

7️⃣ 塗装・出荷
防錆塗料を塗布し、現場へ搬出。
最後は検査員による寸法・外観・溶接確認を経て“出荷OK”となります。


3. 精度の世界

鉄骨加工は“スケールの大きな精密機械加工”とも言われます。
たとえば、長さ20メートルの梁でも許容誤差は±2mm。
気温による伸縮や溶接時の歪みを計算に入れながら、設計値へと近づけていきます。

職人は常に温度・湿度・材料癖を読む力が必要。
まさに鉄と会話できる人間が一流の加工士なんです。


4. チームで作る“鉄骨”

鉄骨加工は一人で完結しません。
製図担当、切断担当、溶接士、検査員、塗装担当――それぞれがプロフェッショナル。
それぞれの仕事が連携し、ひとつの“構造物”を生み出します。

図面を読む力、相手の意図をくみ取る力。
それがチーム全体の精度を決めると言っても過言ではありません。


5. まとめ

鉄骨加工の現場には、“無骨な中に美学”があります。
真っ赤に焼けた鋼材、火花を散らす溶接、ずしりと響くクレーンの音。
そのすべてが「日本の建築を支える音」です。

見えない場所で鉄を操り、構造をつくる。
それが私たち鉄骨加工職人の誇りです。

 


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